ハワイへのビジネス進出のための最新動向

ハワイではコロナ禍を経て、本土からの観光客で「観光リバウンド」とでも言える状況。とはいえ経済打撃は甚大で、商業地区には路面店の空き物件が目立つ。そこで観光復活と空き物件に着目して、この機にビジネスでハワイ進出を試みるビジネスパーソンに向けて、ハワイのビジネス最新動向をお届けします。
ハワイ州産業経済開発観光局(DBEDT)の事業開発&支援部門行政官 デニス・T・リン氏へのインタビューです。

『ハワイはいつでも日本からの投資やビジネス進出を歓迎しています』

今こそビジネスでハワイに進出するチャンス

ハワイも新型コロナウイルスによるパンデミックで、多くの日系企業がハワイからの撤退を余儀なくされました。ワイキキのメインストリート、カラカウア通りからは観光客が消え、店舗や事務所が次から次へと空室になり、信じがたい光景を目の当たりにしました。
しかし、それから1年以上が経った2021年現在、オアフ島には劇的な変化が起きています。これまでカナダやオーストラリア、日本、台湾、韓国などからの観光客が多かったオアフ島に、アメリカ国内各地からコロナ禍以前よりも多くの観光客が戻ってきているのです。
レストランには長い行列ができています。それでもメインストリートの路面店など良い条件のテナントに空きが出ています。「日本人観光客が戻ってくるまでハワイへのビジネス進出を控えよう」という日本の企業もあると聞いていますが、私は今こそ、ビジネスでハワイに進出するチャンスだと思っています。

以前より日本からのハワイビジネス進出数は、海外部門ではナンバーワンでした。ハワイはちょうどアメリカ本土と日本の真ん中に位置し、日本人がアメリカでビジネス展開していくには最高のテスト拠点になることが大きいと思います。
ハワイ居住者の13%が日系人であるということから、日本語が通じることも多く、日本のカルチャーも浸透しています。起業するにはいきなりアメリカ本土で試すよりはるかにハードルが低い。またコロナ発生後、海外からの観光客は少なくなっているとはいえ、ハワイは世界でも有数の観光地です。これからはハワイにいながら、アメリカ本土からの観光客の動向をリサーチできるという特性を大いに活用できることでしょう。

ハワイ文化と日本文化の融合で新たなサービス誕生に期待

ハワイ州には経済成長や開発を促すための「Enterprise Zone(EZ)」というものがあって、一般消費税の免除や、州税や雇用保険料などに対する税額控除などさまざまな優遇措置を受けることができ、起業しやすい環境が整っています。

ハワイ州産業経済開発観光局(DBEDT)では、ワンストップで起業のサポートを行っているので、起業を考えているならまずはお気軽にご相談できます。日本語が話せるスタッフもおります。日本からの事業進出では最近でも大規模な工場を建設した製造業の成功例もありますし、メイド・イン・ハワイの製品やメニューを日本に紹介しようという事業もあります。もちろん、日本の飲食業はローカルにも観光客にも広く受け入れられているので現在も活発ですし、今後も成功できる可能性は十分にあります。

世界から飲食業が切磋琢磨しているおかげで昨今のハワイの外食事情はとてもハイレベルになり、世界各地から食を求めてハワイに来る人もいるほどです。飲食での出店をお考えなら、ワイキキに限らず、カパフル、カカアコ、カイムキ、マッカリーにチャイナタウンまで広い地域に目を向けていただきたいと思っています。

ハワイはビジネス進出に向いている!?

  • 事業のグローバル展開を試すのに最適
  • 小規模なビジネスからスタートできる
  • アジア系住民が多い
  • 設備や補助の制度が整っている
  • 日本語が話せる専門家が多い

最近の日本からの事業進出の成功例を紹介しましょう。今ではローカルにも日本人にも広く認知されているハワイアン焼酎「波花」は、ハワイ産のサツマイモを使って、日本の伝統的な製法で芋焼酎を製造、販売している会社です。年2回の出荷は数量を限定していて、毎回販売開始から3ヶ月で売り切れるという盛況ぶりです。ハワイ州産業経済開発観光局も事業ローンのお手伝いをしたことから始まり、事業拡大のお手伝いもさせていただきました。完成まで9年の歳月をかけてご苦労も多かったと思いますが、ハワイの原材料と日本の伝統を見事に融合させた、新たなメイド・イン・ハワイ製品を誕生させました。

また「ハワイで日本酒を製造する」という試みに挑戦している「アイランダー・サケ・ブリュワリー」という会社もあります。日本で醸造学を学んだ専門家がコロナ直前に開業して苦労もされましたが、酒粕を使った製品なども販売し、現在も多くのファンを生んでいます。両者に共通するのは、ハワイのカルチャーやライフスタイルをよく理解し、そこに自分の能力や経験を融合させて、新たなものを創造していることです。さらに大いなる熱意がありました。こんな情熱を、ハワイは歓迎していますし、ぜひ応援したいと思っています。

コロナ以前もコロナ以後も、変わらないのは皆さんハワイが大好きだということ。ハワイ州は、アロハ精神に象徴されるハワイ文化と日本や世界各国の文化が融合し、新しいビジネススタイルが生まれるのを楽しみにしています。

ハワイ州産業経済開発観光局( DBEDT)で受けられるサポート

Enterprise Zone (EZ)
年度ごとに必須条件を満たす事業は、ハワイ州政府から以下の優遇措置を受けられる。一般消費税(General Excise Tax)の100%免除/事業立ち上げ初年度は「州税の払い戻し不可の税額控除率」80%/事業立ち上げ初年度は雇用保険料の80%に相当する州税額控除など。
該当ビジネス:農業、製造業、卸売り・物流、IT、ヘルスケア、バイオテクノロジー、エネルギー関連など。
https://invest.hawaii.gov/business/ez/

Opportunity Zones
米国に拠点を置く企業向けの優遇制度。キャピタルゲインに対する一時的な税繰延べや、控除などが受けられる。
https://invest.hawaii.gov/oz/

※日本には存在しない税制度なので、国際税務専門の税理士と相談することをすすめます。

Hawaii Foreign-Trade Zone No.9 (FTZ#9)
ハワイ州からグローバルに展開する企業への、関税などの優遇制度。
https://www.ftz9.org/

コロナ禍でも海外進出への関心は現在も依然として高い

外務省の調査では、ハワイに進出している日系企業は2020年10月現在で212社、うち宿泊業や飲食サービス業が71社になっています。2011年の調査では156社でしたから、確実に増えています。実はコロナ禍でも米国に進出した日系企業の撤退は少ないです。コロナ前の2019年調査で進出企業数は213社でしたし、カリフォルニア州で行なった調査でも駐在員を減らすという企業は6%程度でした。
これはどういうことかと言うと、海外進出への関心は現在も依然として高いということです。また、赤字決算などで撤退する企業もあることはありますが、その要因はコロナ前からのものでコロナ禍は直接の要因にはなっていません。

今がハワイ進出、海外進出のチャンス

今、ハワイ進出、海外進出のチャンスだと考えています。その理由をご説明します。まず、これは米国全体に言えることですが、とくに飲食業を中心に、良い条件の商業不動産、店舗物件が空いているということがあります。
ニューヨーク、ロサンゼルス、ハワイなどは世界を代表する観光商圏だと思いますが、これまで条件の良い物件を獲得するには争奪戦でした。それが今ではメインストリートの路面店を好条件で契約できることもあると聞いています。さらにオーナーとの交渉の余地もあるということで、ビジネス進出をする企業にとってはまず大きなメリットがあると思っています。
さらに、とくに米国では一時に比べて、感染者数の減少の仕方が予想以上に進んでいます。おそらく今後もこの流れは止まらないでしょう。米国の覚悟を見たというか、一度やると決めたらワクチン接種にしても経済再開にしても動きは非常にスピーディーでした。マスク着用義務を解除する州も増え続けており、ハワイも7月現在、屋外でのマスク着用は免除されています。これは日本国内とは大きく異なる経済の動きです。
また、我々の調査では先ほど例にあげたニューヨーク、ロサンゼルスと比べても、ホノルルは法人所得税や給与、保険など企業運営に関わるコストが安い傾向にあります。それでも2019年は1千万人以上の観光客が訪れた有数の観光商圏ですし、米国本土に進出する前のテストサイトとしての意味付けもできます。やはりハワイは日本企業にとって魅力的な場所だと思いますよ。

日本での実績はあてにせず、現地の商慣習と実情を把握するのが先決
ビジネスでのハワイ進出は今がチャンス

ワイキキ・アラモアナに立地条件の良い空き物件も・・・
2020年からのコロナウィルスによるパンデミックでハワイの商業不動産の世界では「立地の良い物件が空いている」「これまで一切の交渉を許さなかった物件で条件交渉の余地が出てきた」という話が広まりました。一時はクローズするばかりで動きのなかった商業不動産も、2021年に入ると新規契約や店舗の新規オープンも目立ちます。もしビジネスでハワイ進出を考えているなら、今は進出のチャンスだと思います。
実際に、レストランなどは店舗によってはコロナ前の売上水準を超えているところもあるくらいで、客足は完全に戻ってきています。これは米国本土からの観光客がコロナ前以上に増えているのが要因ですが、長らく消費や外食を我慢していた反動がきているとも言えます。大きな商業物件の売買も目立ってきました。
不動産も、一時はかなり家賃が下がりましたが、現在は下げ止まりになっている印象を受けます。ただ、日本人に人気のワイキキ地区、アラモアナ地区を中心に立地条件の良い物件の空きがまだあるのは事実で、大手ショッピングモールなども良い場所のテナントを募集しています。

ハワイでのビジネスは弊社のようなエージェントに相談するのが近道

日本からハワイにビジネス進出しようとするビジネスパーソンには特徴があります。まず、パーミット(許認可)を取るのが時間がかかるので「居抜き」の物件を探そうとしますね。それが近道であることは間違いないのですが、居抜き限定で探そうとするとおのずと選択肢が限られてしまいますので注意が必要です。
それとご自身に馴染みがあるからでしょうが、ワイキキ地区・アラモアナ地区にしか目を向けない人が多いです。たしかに、ワイキキ地区は全米でも3番目に大きな商業圏ですし、この2つの地区の集客力が他を圧倒していますが、その分、家賃や雑費も高くなるのは当然です。ビジネスの種類によっては、キング通りやカパフル通り、またハワイカイ地区などほかの地区に目を向けたほうが良い場合があります。
場所の選択を含めて、これから商業不動産を契約しようという場合は、とにかく交渉が重要になってきます。これも日本人によるあるパターンなのですが、交渉で「3ヶ月のフリーレント(家賃無料)」をもらったら「有利な条件を引き出せた」と満足してしまうことが多いのですが、実際にはパーミットを取るのに9ヶ月かかって、6ヶ月は空家賃になってしまったということもあります。そんなにパーミットを得るのに時間のかかる物件ならもう少しフリーレントを引き出すことができたかもしれません。でも、それはその地区の特徴やこれまでの歴史、物件の性格などをよくわかっていないとできません。やはり、弊社のような経験を積んだエージェント会社に相談するほうが近道なのです。

米国で契約書を交わす際は弁護士による確認プロセスが重要となります

ハワイにビジネス進出される際に最も多い相談は、法人設立、商業リースの内容レビュー、交渉、ビザ、労務関連です。既存の法人を買収しない限り、一番初めのステップは法人設立で、次に不動産を借りるための商業リースのレビューへと進みます。現地の人材を雇用するには、労務関係の書類(就業規則、オファーレター、雇用契約書など)の準備が必要となりますし、日本から従業員を現地に派遣するとなるとビザの申請に進むことになります。

新規に法人を立ち上げるのではなく、既存の法人や事業を買収する場合は、その法人や事業に関するデューデリジェンス(法務調査)や契約書類の作成・交渉をお手伝いすることになります。

契約書を交わす際には、その種類にもよりますが、買収対価や提供する商品・サービス内容、契約期間、中途解約方法、契約不履行、補償状況、そのほか特別な制限内容などを記載した条項が大事になってきます。日本では個人や中小企業で弁護士を起用することは少ないと思いますが、アメリカは訴訟大国ですので、双方の理解、合意内容を契約書に落とし込むのが慣習で、多くの場合それを弁護士が担当します。

コロナ禍でビザ申請の所要時間が長期化。Eビザは更新時の審査が厳しく

米国市民や永住権保持者以外の方がハワイでビジネスをするには、米国に長期間滞在し、就労できるビザが必要です。ビジネスができるビザの種類は限られていて、要望の多い順に、①E2ビザ(投資またはマネージャー職の社員)②L1ビザ(支店長)③E1ビザ(貿易駐在員)そして④H1Bビザ(専門技術者)となります。

コロナ禍でビザ申請の基本的な法律や出資額などの基準が変わったわけではありませんが、やはり取得までの時間は長くなっています。その原因として、まず大使館への申請書類の提出方法が変わったことがあります。これまで郵送していた書類は、現在はEメールで提出するようになりましたが、これにより審査が早まるか遅れるかはまだ何とも言えません。ただ、コロナ対策で大使館では1日に面接できる人数に限りがあり予約が取りづらいのも、時間がかかる要因です。

また、Eビザの場合は更新時の審査も厳しくなっています。審査されるのは主に次の2点です。①現在も本当に営業しているか②現地で雇用を生み出しているか。更新を控えているかたは、この2点をしっかり説明できるようにしておいてください。

コロナ禍で多くのビジネスオーナーが大変な苦労を経験されています。まだ終わらないパンデミックを乗り越えるために、大きく事業内容を変更しなければならない場合もあります。ケースごとにさまざまな可能性を考え、夢をあきらめないようにするための法的サポートを提供しています。

初期投資を抑えるならシェアオフィスや外部スタッフの活用を

重要なのは、ハワイでビジネス進出するために何が必要かを理解し、時間をかけて、計画と期間を検討することです。ビジネス環境は日本とは大きく異なります。特に実際のプロセスが予定とは異なり、ハワイでの投資費用は予想よりも高額になるというのはよくあること。初期計画を設定するだけでなく、追加の現金を手元に用意するなどして、当初より余裕を持った予算を設定することが重要です。当初の見積もりの2倍ということもよくあるのです。

そんな状況ですから、投資ビザ取得のためだけに急いでビジネス進出をすることを決定することはしないほうが良いと考えます。例えば、建設を伴うレストランを開くには1年以上かかることもありますから、事前の念密な計画設定が鍵となります。

まだ事業所を決めていない場合、最初にシェアオフィスを利用することは、初期段階でのコストを抑えることができるため、良い選択です。また、請求書や関係書類を1拠点で管理できるのも利点です。その期間に、事務所の賃貸や雇用などの手続きを進めることができます。

人材も自社採用ではなく、外部スタッフや専門スタッフを活用するのがコストの面では有利になります。弊社の提携会社はハワイでシェアオフィス事業を展開し、その提携会社の住所を会社の住所として登録できます。弊社によって、ハワイ非居住の事業主の代わりに、関係書類を確認し様々な手続を行うことができます。また、会計、税務やその他のビジネスサポートも利用できます。とくに進出初期にはコスト面で大きなメリットがあると思います。ぜひご活用ください。

30万ドルからできるE2ビザ取得が可能な米国不動産投資

ハワイは特にE2ビザ(投資家ビザ)やEB5(投資永住権プログラム)へのニーズが高いため、今回、不動産投資事業によるE2ビザ取得について紹介させていただきます。

E2ビザ取得の大きな難関は「安定した投資事業+雇用創出」の機会を見つけることです。弊社は「ストレスのないE2ビザ取得」を最大のゴールとし、米国本土に多く存在する「E2ビザ取得目的の投資事業モデル」を活用してハワイ移住希望者の夢を実現しています。不動産投資事業やEB5に長年の実績がある米国企業がE2ビザ取得希望者のサポーターとして「事業運営者」となりビジネス安定のために支援することで、投資する移住希望者がE2ビザを取得するモデルとなります。E2ビザ取得希望者は「経営者」であり「運営者」ではないため、事業によっては現場に居住する必要はありません。事業運営や人材採用は現地のプロに任せていただき、ビザ取得希望者は経営者として事業を維持することになります。弊社はこの投資事業の契約からE2ビザ申請代行まで日本語でワンストップサービスを提供しています。

この新しい投資モデルでビザを獲得し、ハワイ移住のチャンスをつかみませんか? ぜひ一度、ご相談ください。

OFFICE IMANOが提供している様々なサービスとは

ハワイに限らず海外に進出しようとする企業に対してさまざまなサービスを提供しています。
また、実際に進出するにあたって、ビザ関連、税務会計の相談もできますし、取引先企業の紹介や関連商品の価格調査なども依頼できます。当社で契約している弁護士などの専門家と相談する機会がありますし、これから進出する企業だけでなく、すでに海外に進出されていて、現在お困りのことにも対応させていただきます。
当オフィスでは海外でもビジネスを活発に展開しようという日本企業を積極的に応援しています。ぜひ相談窓口をご活用いただければと思います。